自宅蕎麦屋という贅沢
自宅蕎麦屋という贅沢

 

「自宅蕎麦屋」が町なかに増えています。手打ち蕎麦の技を習得して、腕におぼえのある人たちが、ひとまず自宅の一部を店として開放し、蕎麦屋を始めるのです。

 「どうせ趣味の延長、お遊びさ」と言うなかれ。これがなかなか、あなどれないのです。

 中には畑まで持って、ソバの栽培から行う店さえあります。

 こういう店のご主人は、研究熱心で「蕎麦の味」の探求に余念がありません。

 そのうえ、食材は近隣の農家から直接仕入れて、新鮮で廉価なものを使うなど、「安くて、おいしいもの」を作るための努力を重ねています。

 「この値段で、この料理!?」と客が感心する、コストパフォーマンスに優れた店が多いのです。

 蕎麦屋を始めたばかりなので、店主の対応には、心なしか初々しさが残ります。それだけ一生懸命、お客さんに喜んでもらうことに気を遣っているのです。

 心を尽くして歓待されるひとときは、得難いもの。こういう時間を「贅沢」と呼ぶのでしょう。

 

 普通の民家に「蕎麦屋」の看板を掲げているところがあったら、一度、入店してみることをおすすめします。

 中には「ちょっと残念だったね」の店もないわけではありませんが、それはそれ。結構、高い確立で、今まで知らなかった、個性の蕎麦屋世界を楽しむことができるのです。

 

 今回は、自分でソバ栽培まで行って、おいしい蕎麦を供する努力をしている「自宅蕎麦屋」を紹介します。

 

この店では、量に限りはあるが、自家栽培した蕎麦も使う
この店では、量に限りはあるが、自家栽培した蕎麦も使う

『手打ち蕎麦くにえだ』は、國枝さんが栽培した蕎麦も供する店。

心を込めて打った蕎麦は、まさに「自宅蕎麦屋」の贅沢。

 

 主人の國枝正和さんの蕎麦打ち歴は、もう20年以上。店を開いたのは6年前です。自宅の一部を開放して始めた『手打ち蕎麦くにえだ』は、「あそこの蕎麦はおいしいよ」と、口コミで噂が広まり、今では開店前に待つ人も出るほどになりました。

 お店は、ほんとうに普通の民家です。「え、そばの旗は立っているけど、どこに店があるの?」と、とまどう人もいるほど。ここから「自宅蕎麦屋」の驚き、楽しさがスタートするのです。

 

 國枝さんは1,500㎡の畑を借りてソバを栽培するほかに自家菜園も作り、店で使う野菜の多くは、そこで栽培したものを使っています。

 畑で栽培した蕎麦を店で出しているのですが、一年中使えるほどの量は穫れないため、1月から3月ころまでの限定になります。自家製の蕎麦が終わると、信頼できる業者から仕入れた蕎麦粉を使います。

 蕎麦店を切り盛りしながら、ソバの栽培や自家菜園も行うのは、大変な仕事です。店が大きくなって、お客さんがたくさん来るようになると、畑まで管理するのは体力の限界を越える仕事になってしまいます。

 國枝さんの理想は、自分のできる範囲で、店も畑も管理し、納得できる蕎麦を、蕎麦好きの人に食べてもらうこと。現状は、かなりそれに近い姿だということができるでしょう。忙し過ぎず、ひま過ぎず、今の状態を長く続けられるといいですね。

 

 國枝さんは、『蕎麦Web』が行った蕎麦の講座「蕎麦Web大学」の時代から、熱心に受講して、蕎麦の知識を豊かにしてきました。

 現在は、「蕎麦鑑定士」の講座に進級し、今年は2級を受講します。順調に行けば来年度は、「1級、蕎麦鑑定士」に認定されることになります。おいしい蕎麦作りを追求する國枝さんに相応しい級位だと思います。

 

 蕎麦は、打った人の人柄が、そのまま反映されます。

 國枝さんは、『蕎麦Web』が行った福島でのボランティア活動にも、ご協力くださいました。地元での福祉活動も、積極的に行っています。

 そういう人が作る蕎麦ですから、多くの人に好かれる蕎麦になるのです。

 静岡県、掛川市に行く機会があったら、ぜひ、自宅蕎麦屋『手打ちそば くにえだ』の玄関ドアを開き、國枝さんが心を込めて打った蕎麦を召し上がってください。

 

『手打ち蕎麦 くにえだ』では、毎年、五節句前の第一週営業日に、「そば國節句祭り」を行っています。5月は、1日(木)と2日(金)の二日間。この日は10人限定で、抹茶を練り込んだ変わり蕎麦を味わうことができます。当日は、早めにお店を訪ねてください。

 

『手打ち蕎麦 くにえだ』

静岡県掛川市三俣1568-1 電話/FAX 0537-72-2666

ホームページは、こちらです。

手打ち蕎麦くにえだのホームページへ