にはち(大分県) 別府の江戸風そば

レポート提出者:そばのみさん


大分県別府駅にほど近い飲食店街で営むそば屋である。

 店名は「にはち」。なぜ「にはち」なのか?

 二八そばの語源には諸説様々有り正解は誰も知らない。しかしながら美味いそばを意味する、かつての代表的な言葉であったことには間違いなさそうだ。

 勿論現代においても、「そば粉と小麦粉の黄金比であり、この比率で打ったそばは、コシ、喉ごしともに最高で自分の舌に一番合う。」と評価するそば通の方も多い。

 ところが現代の素人は二八と言う文字には辛辣だ。

 「十割という文字に心惹かれるが二八には興味ない」と言う者。

 また「十割そばでなければそばではない」などと言う強者もいる。

 素人はこの言葉に責任をもたなくて良いので言いたい放題勝手なものだ。

 つまり、素人(お客となり得る多数の方々)の感覚で、美味いそばの代名詞は「十割」ではなかろうか。

 今や「二八」は美味いそばの代名詞にはなり得ていない。

 だから店の看板にするには「十割」が妥当であろう。

 なのに「にはち」しかも平仮名だ・・・

 「何かのこだわりがあるな」と思いつつ店内に入ると、おやじが威勢良く“いらっしゃい”と迎えてくれる。

 厳つい感じのおやじだ。どこかで見た気がする・・・

 おやじから視線を店内へ移す。カウンターが目の前にある。5人がけである。左を見ると4人がけテーブルと、2人がけテーブルが一つずつある。

 都合11人が座れば満席という小ぢんまりとした店だ。

 奥さんらしい中居が品書きを置いて行く。この地にしては結構な値段が付けられている。

 暫し考え、今日の懐具合と、腹具合から“二八おろしそば”を頼む。 しばらくすると、そばが盛られた織部の器が運ばれてきた。

 上品な量・・・だ。麺の量は100g位だろうか。昼時にこの量では足りないのは一目瞭然である。

 まず量に目がいったが、麺はというと、更科ではないが、白目の細麺である。これに汁がかかり、麺の上に大葉に乗ったおろしが添えられている。

 汁の味を見る。九州の料理は甘口でそば汁も例外ではないが、この汁は甘くない。久々に関東風の味付けでホッとする。

 次に麺の味を確かめようと箸を取る。

 すると竹箸であることに気付き何故か嬉しくなる。

 麺だけを味わいたいが、既に汁がかかっているのでそれは叶わぬ。

 おろしだけは付けないように注意し、竹箸で2本の麺を取り口に運び二回ほど食み喉の奥へと送る。

 そば粉の香りが立ち、コシがあり喉ごしが良い。

 思わず首が縦に振れる。

 おろしはどうだろう?期待し竹箸で少量をつまみ口に運ぶ。

 程よい辛さが清々しい。

 そば、汁、おろし、それぞれに美味い。三つを一緒に口へ入れた時の期待感がMAXとなって、食べ始めると期待とおりの食味が体全体に広がる。量も少ないのであっという間に完食・・・

 やはり量が足りぬ、もう一枚頼もうにも懐具合が承知せず断念・・・

 その代わりではないが、爪楊枝を口にする。

 爪楊枝も竹で作った物を使っている。かなり細いもので使い心地が良い。竹箸、竹爪楊枝にコストがかかっているのやも知れぬ・・・

 おやじとしばし話す。

 「どこから来たのか?」とおやじが私に問う。

 「関東だ」と答える。

 「この地のそば汁は甘いだろう」とおやじが言う。

 「そうだそうだ」と私が言う。

 「この地の醤油は甘くおれのそばには合わない」とおやじは言う。

 「近くにそば生産地があるが、そのそば粉は使わないのか」と私が聞く。

 「そこのそば粉も口に合わないから使わない」とおやじが言う。

 話は酒のことになる。メニューを見ながら「この地の日本酒はどれか?」と私は聞く。

 「この地の日本酒はおれの口に合わないから置いてない」とオヤジが言う。

 「焼酎はどれが美味いのかと」私は聞く。

 「焼酎は香りが強く、隣の客にまで影響を与えるので本来出したくない。

 だから頼みにくい様に値段を高くしている」とオヤジが言う。

 (拘りの論理に納得が行かぬ・・・と心で思う)会話が途切れる。 

 再度メニューに目を通していると、なんと「十割そば」がある

 店名の「にはち」が何なのかいよいよ分からなくなる。

 きっと違う意味があるのだろうが、オヤジに聞いても面倒くさそうなので止めておく。

 会計をすませ歩いていると奥歯に残ったそばが気になる。

 「あの竹爪楊枝を持って来ればよかった・・・」

【食味体験をした店名】にはち

【店の電話番号】0977-22-2810

【店の住所】  大分県 別府市 駅前町 7-15

【アクセス】日豊本線 別府駅より徒歩5分

【営業時間】昼:11:00~14:00

      夜:18:00~20(ただし売り切れ次第終了)

【定休日】火曜日、第三月曜日

【ひとり分の平均的な予算】1000円から

【予約】可

【クレジットカード】

【個室】なし

【席数】カウンター 5席  テーブル 4人かけ×1 2人かけ×1

【駐車場】なし

【煙草】禁煙

【アルコール】有