割烹旅館 米屋(大分県) 割烹旅館も営む本格古式手打ちそば店

 レポート提出者:そばのみさん

 

 休日だと言うのに仕事に出た。昼前までに切り上げるつもりが1時過ぎまでかかってしまった。昼飯も食べずにだ・・・こんな日は自分へのご褒として美味いそばをプレゼントするしかない。

 

 このそば屋は、車通りも、人通りも少ない路地にある。時代ある建物で旅館割烹も営みながらそば屋もやっている。店に入ると広い建物の一部をそば屋にあつらえた様子がわかる。物静かな空間が作り出されている。

 

 品書きは一つ、4品がセットになった“そば揃え”のみだ。季節の物、篭そば、おろしそば、そばがきがその内容。

品書きを見ていると中居が、「そば一品でも用意できる」と言ってくれた。しかし、自分へのプレゼントの訳だから中途半端なものでは納得が行かぬ。そば揃えを頼む。「そば揃えは冬の間、おろしそばを暖かいそばにも替えられる」と説明が加わる。少し考えた。確かに今冬ではあるが、今日は少し動くと汗ばむ気候である。おろしそばを頂くことにする。

 

 程なく篭そばの汁、薬味が運ばれてくる。

汁は関東風を意識しているが後味に甘味がほのかに残る九州風である。

出汁の取り方がしっかりしている。割烹旅館を営んでいるのだから、この汁も板前がプロの技を大いに発揮して作っているのだろう。

 

 山葵は鮫皮おろしで自分がおろすものである。

私はこの作法がなんとなく気に入らぬ・・・料理人がおろしたほうが美味いに決まっているからだ。だが山葵を薬味として使いたいのなら従うしかない。(美味くなれ、香りよ立て、辛くなれと念じながらおろす)

 

 一生懸命おろしていると篭そばが、塗盆の上に乗せられ運ばれてきた。竹籠は大分県の特産品である。まずは二本を箸に取り汁に浸けずに口へ運ぶ・・・すっきりとした食感。腰があり、もちもち感はない。そばも関東風である。思わずいいねぇ~と言葉が口をついて出た。この地のそばは私の知る限り全てが九州風でもっちり感が際立つものであったので、このそばは嬉しい。

次に適量取ったそばを、先に確認した汁の味を参考に良いと思うだけ浸けて食すると、もう言葉はいらぬ。この調子で数口頂く。

 

 いよいよ一生懸命おろした山葵の出番が来る。一口で食べるだけのそばを箸で取り、まとめるように篭の上に置く。その上に箸で取った山葵を乗せる。これらをひとまとめにして箸で持ち上げ、汁を適量つけて口へ運ぶ。山葵の香りが鼻腔に抜け清々しく、さっき頂いた一口とはまた違う新鮮な感覚が良い・・・自分でおろした山葵だからそばの評価が上がるのかも知れぬ・・・(板前の術中にはまった自分が悔しい)

 次におろしそばが運ばれてくる。これはいわばぶっかけそばである。

そばの上に大根おろし、花かつお、ネギ、刻み海苔を乗せ、汁をかけたものである。だから汁は薄口になっている。

先に記した、そば、汁の評価とトッピングの種類から見てこのおろしそばが不味いはずは無い。一つ注文を付けるとしたら大根おろしがもう一つ辛くあって欲しかった。

 

 盛られた器は有田焼の染付皿である。割烹旅館で出される器というだけでそれなりのものだろうと勝手に思いありがたく感じる。良い器は板前の料理を数段美味しくすることは間違いない。

 

 さて、写真を見て頂きわかるように、ここまでに結構な量のそばを頂いた・・・が・・・今日の私はまだ許さぬ。

 最後となるそばがきの登場を手ぐすね引いて待つ。運ばれてきたそばがきを思わず二度見した。量と肌色が私の理解を超えていた。 

 

そのそばがきは大ぶりの塗椀に張られたゆで汁の中に、半月状のものが二つ、椀の全てを支配するかのように鎮座していた。(写真に向かって左側のそばがきの横方向に切れ目が入っているのは、写真を撮る前に箸を入れてしまったためなので悪しからず)

 そして表面に黒い斑がある。じっくり見ると火を入れたことがわかるのだが、私にとって初めての経験である。ここで漏れた言葉はへぇ~

箸を入れると、炙った効果だろう若干固めの厚い表面を破る感触を得た後に本来のそばがきの柔らかさを感じた。

 箸に取り香りを聞くと、確かに芳ばしい。続いて何も付けず口に入れると焼きによる表面の若干の食感と次に来る柔らかさ、焼きの香ばしさ、そばの香りを感じる。このような食べさせ方があるのかと感心し唸る。

 

 共に出された付け汁を付け食す。甘めであるがそばがきと上手く調和して美味しい。更に先におろした山葵、ネギとともに食すると味の変化があり飽きることなく・・・いやいや美味しく食べられた。

 ここの板前が作るものは陳腐ではない。客を飽きさせない。

気が付けば完食だ。

 

 自分へのご褒美は納得できるもので美味しく十分であった。心の中で、今日はこのくらいで勘弁してやろうとつぶやき店を後にした。

【店 名】 古式手打ちそば 割烹旅館 米屋

【読 み】 こしきてうちそば かっぽうりょかん こめや

【電話番号】0978-72-0009

【店の住所】〒873-0503 大分県東国東郡国東町大字鶴川229-2

【アクセス】大分空港より車で約15

【営業時間】昼:11:00~14:00夜:17:00~22:30

【定休日】 月曜日

【ひとり分の平均的な予算】昼:1,500円 夜:3,500

【予約】可

【クレジットカード】不可

【個室】有

【席数】通常:5人座卓×2+4人座卓×1計14人分

  (旅館も営んでいるので部屋はいかようにも準備可能)

【駐車場】有:5台程

【煙草】禁煙

【アルコール】有

【店のホームページ】なし